蒸留酒の歴史

古代メソポタミア地方の地図

蒸留技術自体の歴史は古く、紀元前3500年頃、チグリス川とユーフラテス川にはさまれた古代メソポタミアの地域では植物から香油を抽出するための蒸留器らしきものが存在していたようです。

蒸留酒の歴史は様々で、どれが本当かは定かではありませんが以下、諸説を記します。

紀元前1300年頃のエジプトでは、ナツメヤシの蒸留酒が売られていたそうです。

紀元前800年頃のインド、そして紀元前750年頃の古代エチオピア(アビシニア) で造られていたそうです。ただし、そこからは広く伝わっていくことはなかったようです。

紀元前4世紀から紀元前3世紀にかけてのメソポタミアの北部で簡単な蒸留器が出土していました。

お酒の蒸留を記録したものとしては紀元前300年頃、古代ギリシャの哲学者アリストテレスによるワインの蒸留が最初のようです。

紀元前4世紀以降には、アレクサンドリアを中心としたヘレニズム文化は錬金術に磨きをかけ、銅製の蒸留器アランビックが発明されました。アランビックは、2つの容器を管で接続した蒸留器のことです。錬金術において、化学物質を蒸留するために使用されました。現在のモルトウィスキーやコニャックをつくる蒸留器もおなじくアランビックが近代化したものといえます。

本格的な蒸留酒の誕生は錬金術師が偶然作ったとされています。あるとき、錬金術用の坩堝(るつぼ)に何かの発酵液が入り、アルコールの高い液体が偶然生まれました。これが、人類最初の蒸留酒の誕生であるとも考えられています。

錬金術とは卑金属(貴金属ではない金属で容易に酸化する) から金を得るために金属編成を行う技術のこと。

中世(西暦476~1400年代後半) の錬金術師によって蒸留酒の技術は発達し、8世紀以降になると、イスラム軍とともにスペインに渡った錬金術師たちによって、アランビック(蒸留器) を用いて、ついに本格的な蒸留アルコールが製造されました。その蒸留酒は不老長寿をもたらす薬とされ、ラテン語で「生命の水」を意味するアクアヴィテと呼ばれ、その後ヨーロッパ各地へと伝えられていき、様々な蒸留酒へと派生していきます。

ウイスキーやウォッカは言語は違えど生命の水が語源です。またブランデーもワインを焼いたものという意味ですが、フランスでは生命の水を意味するオー・ド・ヴィーと呼ばれています。

そしてそれは東南アジアにもゆっくりと伝わると、インドでマフア酒となり、モンゴルではアルヒ、中国では13世紀(元の時代)パイチュウ、インドネシアアラック、タイから沖縄に14~15世紀頃伝わり、タイでラオロン、沖縄泡盛、中国や沖縄から九州へ伝わると焼酎となりました。

さらにタイから沖縄に14~15世紀頃伝わります。九州へは沖縄や中国から伝わりました。蒸留という技術が生まれ、錬金術によって磨きをかけられ、長い年月をかけて世界各地に伝わり、九州では本格焼酎が生まれました。

蒸留酒とは

ごく簡単に言いますと、蒸留酒とは、ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒を蒸留させたものです。ただし、製品になったビールやワインそのものをそのまま用いるわけではありません。あくまでもわかりやすく表現すると、ということです。

醸造酒の成分アルコールと水とが混ざりあった液体をいい、アルコール度は数%から約20%前後になります。

そこで、醸造した液体を蒸留という工程を行うことによって、より度数の高い液体(蒸留酒) を得ることができるのです。

一気圧のもとでは、水の沸点は100度、エタノール(アルコール) の沸点は約78.325度。その温度差を利用して醸造酒に熱を加えます。

醸造酒を蒸留器で加熱すると、まず沸点の低いエタノールが水よりも先に気化していきます。この蒸気を集めることによって、醸造酒中の水分と分離させることができます。そしてその気化したエタノール成分を冷却して液体に戻すことによって、元の醸造酒よりもエタノールが濃縮されたアルコール度数の高い液体を得ることができます。これを蒸留といい、蒸留によって得た液体を蒸留酒といいます。そして気化せずに残った液体は蒸留残液と呼ばれています。

蒸留方法

蒸留酒を作る際の蒸留の方法は、大きくふたつに分けられます。

【単式蒸留】

単式蒸留器(ポット・スチル) で行います。

ポットスチルの構造は、材料となる原液(モロミ) を加熱する釜、加熱により発生した蒸気を冷却槽に送る管、送られた蒸気を冷やして・液体に凝縮させる冷却器というシンプルなものです。

蒸留の際はアルコール分と一緒に多くの原料成分も蒸留されるため、原料の風味が生きたお酒が仕上がります。

通常2回以上の蒸留を繰り返すことで、エタノール値と純度を高めます。

一度目の蒸留で約20度、二回目の蒸留で約60度近くまでエタノール値(アルコール度数) があがります。

単式式蒸留で作られるお酒には次のようなお酒があります

【連続式蒸留】

連続式蒸留器(パテント・スチル) で行います。

連続的にモロミを投入でき、蒸留機の中で、何度も何度も蒸留が行われているため、連続式蒸留と呼ばれています。

モロミ塔は穴あきのトレイが何段か重なった階層状になっていて、上部から原料を投入すると同時に下部から蒸気を送ります。こうすることで、単式蒸留より効率が良いだけでなく、より高い純度のアルコールを抽出することができると同時に、原料のくせが少ないピュアなお酒に仕上がります。

単式蒸留とは異なり、一回蒸留機を動かすだけで、90度前後の高アルコールの蒸留液を採取することができます。より効率的にアルコール度数を高めることができるということです

連続式蒸留で作られるお酒には次のようなお酒があります

蒸留酒それぞれの詳細は下記よりご覧いただけます。

⇒ なお、蒸留の詳しい説明はこちらから

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