加水について

ここではコニャックを主体に説明します。コニャックではAOC規格基づいて、いくつかの添加物が認められています。

  • 蒸留水による加水
  • カラメル
  • オークチップ

これらのなかでも最も風味に影響の大きい加水について説明します。

加水の目的

なぜ加水を行うのか、それはアルコール度数を下げるためです。

加水は主に蒸留後の熟成期間に行われます。蒸留したてのブランデーはアルコール度数が72%近くあります。そのアルコール度数を加水によって40%近くまで下げることを主な目的としています。

加水の有無

加水するのは主に熟成年数15年~20年以下の若いコニャックです。メーカーによって多少の違いはありますが、VSやVSOPなどのコニャックはほぼ加水によってアルコール度数を下げています。

熟成年数が長ければ長い程、加水をしなくてもアルコール度数は熟成中に下がっていきますが、VS(4~7年熟成) やVSOP(7~10熟成)、ナポレオン(12~15年熟成) 程度では、飲みやすいアルコール度数まで自然に下がらないので、加水によって下げてあげる必要があります。

したがって、ほとんどの15年~20年熟成以下のコニャックのほとんどが加水された状態で出荷されています。

逆に50年熟成や100年熟成を目標としたようなコニャックには加水は行われません。

理由は加水を行うと50年もの長期間コニャックが持たないからです。長期熟成を目指したコニャックは加水せずに自然に熟成過程でアルコール度数が下がるのを樽の中で待ち続けます。

つまり実際商品として出回るコニャックには、熟成年数によって加水されているものや、されていないものがあったりするのです。

加水の方法

何年熟成でどれだけ加水するか、熟成過程における加水の方法はメーカーによってさまざまです。大きく分けると次の2つです。

① 毎年毎年少しずつ加水する場合

この方法はコニャックの風味が分離するのを防ぎ、若い熟成年数でも風味を損なわずにアルコール度数を下げることができるのですが、手間と人件費がかかります。

② 仕上げに一気に加水する場合

この方法は瓶詰出荷の6ヵ月程前に一気に加水する方法です。手間もかからず効率も良いですが、コニャックの風味と水が分離しやすくなり水割りコニャックのような風味を損ねたコニャックになりがちのようです。どちらかというと大手に多い手法のように見受けられます。

しかしこの方法を行う理由は、樽の積み上げ方式も影響しているようです。大手メーカーは隙間のないくらい熟成樽を積み上げて保管するため、熟成過程での加水調整ができず、最後に一気に加水する以外にないといったことのようです。

⇒ 格メーカーの加水方法の違いについてはこちらから